みなさんこんにちは
暖かくなり春が来たかと思えば、雨がしとしとと寒くなったりの繰り返しですね
体調は崩されていませんでしょうか
家の近くではもう梅の花が咲いています
季節の変わり目を感じる今日この頃ですね
さて、今回はとある曲をご紹介したいと思います
マーラーの交響曲第9番です
この曲は「最期」をテーマにした曲です
聴いていただくとおわかりいただけるかと思うのですが、本当に苦しくて辛くて壮絶な曲です
そう言われると聴きたくなくなってしまうかもしれませんが、
音楽の世界ではネガティヴに感じるものが、必ずしもネガティヴな意味合いを持つものではありません
例えば、普段ポップスの歌などを聴かれると思いますが、楽しい歌ばかりではありませんよね
失恋した時には失恋ソングを聴いて切なく思い、
落ち込んだ時には励まされるような曲を聴いたり、
いろんなジャンルの歌が存在します
クラシックの世界もそうで、暗く切なく辛いものがネガティヴな印象を与えるわけではなく、
そういう気持ちにさせることができるその音楽の力、が高く評価されます
その中でも、最近私が今まで聴いた中で一番苦しかった、言い方を変えれば、
精神力を使い果たして非常にエネルギーを消費した一曲、
を紹介させていただきたいと思います
マーラーは交響曲第1番を書いた時から死の影におびえ、死に憧れ、逆説的に死を通して生への執着を見せていました
第8番でまったく生の、愛の賛歌を書き上げた後、
大地で再び世俗を超越した視点で生きること(生への執着)を見つめ、
次に純粋に死を見つめた、これが第9番なのです
そのため第9番には、人間性を超越した忘我の世界、無常観、感傷、諦め、懐古の情
など非常に複雑で繊細な精神が絡み合っています
たいてい、こういった曲は作者自身がそういった状況に陥っているときに書き上げられるものだと思いますよね
失恋ソングだってきっと、そういう経験や思いをもとに作詞されているものです
ですがここで注目すべきは、マーラーは第9番を作曲した当時、
病気(誤診)もなんのそので心身ともに活力にみなぎって指揮に作曲に忙しくしており、
死や衰弱などといった言葉が出てくるような状況ではなかったのです
聴き手としては、病気や精神的ダメージで衰弱し息も絶え絶えなんとか書いた死にまみれたイメージなのですが、
実際は活力と生命力の裏返しとして、リアルではない死の世界が描かれているのです
そこもまさにマーラーの天才性なのです
マーラーの交響曲は1楽章と4楽章だけでいいと言われることがあります
だいたい始まりと終わりがドンチャン騒ぎで激しくかっこいい曲に仕上がっているからです
なので、1楽章を聴いて悲観に満ちた思いになって、2楽章はどうなってしまうのだろうかと思えば、
おそらく聴いて拍子抜けします
雰囲気に落差があって、聴き手によっては必要のない音楽と感じてしまうかもしれません
ただこれこそがマーラーのユーモアであり死の世界の延長線上を描いたものなのです
難しい話をしましたが、とにかく聴いただけで気持ちが全部持ってかれるような感覚で、
本当に素晴らしい曲だと思います
先人がとてつもない作品を残してくれたなぁと思います
こんなにも奥の深いものを気軽に触れることができるなんて、クラシックとは、逆に言えば敷居の低いものだなとも思います
もし機会がありましたら聴いてみてください
以上、おすすめ曲のご紹介でした
ナースS
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