本態性振戦という病気があります。
最も多い不随意運動で、筋肉が律動的に収縮するために生じる震えのことです。
本態性振戦は動作時や姿勢保持に際して振戦が出現します。
有病率は40歳以上の方で10万人に415人と報告されていて、
珍しい病気ではありません。
私の友人が長年小指の本態性振戦に悩んでいたのですが、
様々な可能性を説明した末、それでも治療をしてほしいということで
ボツリヌス毒素注射(ボツリヌストキシン注射)治療を行いました。
小指の付け根にある小指外転筋が主な収縮筋でしたので、
そこへボツリヌストキシンを8単位程注射しました。
2-3日後本態性振戦は消失しました。
副作用としては、小指を外転させるときの筋力が、
反対の指とくらべて弱くなったことくらいでした。
通常ボツリヌストキシンは顔面の表情ジワ対策に入れる場合、
効果は4-6ヶ月くらいですが、
この治療後、約2年ほど振戦の再発まで要しました。
初めての治療は5年前ですが、
これまでに3回同量を注入していて、
再発までの期間は徐々に延長しています。
部位、投与量を慎重に選べば
本態性振戦に対してボツリヌストキシン注入治療はとても効果的で、
悩みを抱える患者さまにとって大きな福音となる治療ではないかと考えています。