日本では脇からインプラントを入れる豊胸術が主流です。
欧米では乳房下溝といって、
バストのアンダーの位置を約4cmほど切って
そこから入れるやり方が標準的術式です。
欧米人と比べわれわれ東洋人は
傷の目立つ具合がやや欧米人と比較すると
残念ながら目立つ傾向があるため
脇からのインプラント挿入が主流になっているんですね。
この脇からの留置も美容外科医にとって、
沢山考えることが多いアプローチのひとつです。
その沢山考えることがあるなかのひとつに、
乳癌になった際にできるだけ診断治療に妨げにならないことが挙げられます。
乳癌は女性の癌のなかでも多い癌のひとつです。
30歳以上の方は定期的に健診が必要といわれていますね。
乳癌の治療は私は専門ではありませんので、
あまり詳しいことは申し上げられませんが・・・
治療方針を決める際に大事な、
センチネルリンパ節生検という検査があります。
外科的治療を必要最小限にするために行う検査です。
脇を切って豊胸術をおこなうことで、
この検査に影響する可能性がでてきます。
その影響を最小限にすることが大事なのですが、
そのための対策として
切開部位を、
脇の中央よりも腕よりというか、
胸に遠い位置を切ることが大事であると
最近の論文で報告されています。
乳房からのリンパ流が脇の下にあるリンパ節に
95%が流れてくるといわれているからです。
そのリンパ流をできるだけ妨げないように
手術をおこなう必要があるのです。
切開したあとも、
腋窩筋膜を温存しながら慎重に
皮下組織を剥離し、大胸筋に到達しなければなりません。
そういったことをしっかりと念頭に置き、
豊胸術を安全に、確実におこなっていきたいと思っています。
豊胸術も胸にインプラントを入れるという
言うと単純な手術ですが、
いろいろと考えることが多く(考えないといけない事が多い)、
奥の深い手術と思います。
そのあたりも来週末の韓国での発表で
内容のひとつに含めていきたいと思っています。