被膜拘縮はプロテーゼを用いた豊胸術においてもっとも注意の必要な合併症の一つです。 発生原因は微小感染、血腫、漿液腫などがいわれており、またスムースタイププロテーゼ、乳腺下の豊胸術で多いとされています。
当院の対策
当院では被膜拘縮発生を予防する様々な対策をおこなってます。
- テクスチャードタイププロテーゼの採用
- 拘縮予防の内服薬服用(3ヶ月)
- 高周波温熱療法(CET)
テクスチャードタイププロテーゼの採用
テクスチャードタイプのプロテーゼは拘縮発生率を下げるために開発された膜構造で、プロテーゼの表面積を広くさせ、形成される被膜繊維の走行も不規則となることで拘縮を予防しているとされています。>>プロテーゼについてはこちら
拘縮予防の内服薬服用(3ヶ月)
拘縮はプロテーゼ周囲に形成された被膜の繊維が収縮することで発生します。この被膜が厚ければ厚いほど収縮したときに硬くなってしまいます。
また被膜は手術の際の炎症反応が大きければ大きいほど厚く強くなってしまいますので、この炎症反応をいかに小さく抑えるかがひとつの鍵になります。
炎症を抑える内服薬にロイコトリエン阻害剤であるアコレート、TGFβ阻害剤であるトラニラストというお薬の効果が認められております。
当院では炎症反応の収まる術後3ヶ月までこれらの内服薬を服用いただき拘縮予防を図っております。
高周波温熱療法(CET)
高周波による深部加温で、細胞の活性化、組織の代謝アップ、血流、リンパ流を促進させる効果があります。>>高周波温熱療法(CET)についてはこちら
その他、施術中の予防策
炎症反応を少なく抑えるための迅速かつ丁寧な手術操作をおこないます。
微小感染防止のため、術前からの抗生剤点滴、プロテーゼ挿入前の術野の再消毒、術者、助手の手袋交換などをおこない、プロテーゼ挿入後、生理食塩水によるポケット内洗浄500cc、抗生剤加生理食塩水注入をおこなっております。
血腫予防として正確な剥離操作によるポケット作成、洗浄による微小血腫除去、止血剤ポケット内注入、ドレーン留置などをおこなっております。
プロテーゼを入れる層も、当院では乳腺下は用いず大胸筋筋膜下法を採用しております。
乳腺下の豊胸術に拘縮が多い原因として推測されているのは、正常乳腺に存在する細菌の存在です。経乳腺組織で細菌感染をきたし拘縮が発生するといわれています。大胸筋筋膜は非常に薄い膜ですが、上方はしっかりとしていて確実な剥離層を安定して作成可能です。乳腺組織との遮断、あるいは接触面積の減少が得られると考えております。